サッカー先進国は「ユースの才能」に過度な期待や幻想を抱くことはない
- By : Kaskas55
- Category : 海外サッカー日本人選手
プロというのは、限られた才能をさらに絞り上げて作った世界なのである。
2013-14シーズンのUEFAユースリーグ(チャンピオンズ・リーグと平行して行なわれるユースの欧州王者を決める大会)、バルセロナのユースは圧倒的な強さで大会を制している。
グループリーグでは、ミラン、セルティック、アヤックスのユースと対戦したが、5勝1分け・20得点5失点と、全く寄せ付けていない。決勝では、レアル・マドリーを準決勝で4-0と下したベンフィカを、3-0と完膚無きまでに叩いている。
では、当時の優勝メンバーで何人の選手がバルサのトップチームで活躍しているのか?
大会MVPとも言える活躍で得点王の11ゴールを挙げたFWムニル・エル・ハッダディ、ただひとりである。ムニルにしても、バレンシア、アラベスでの2年間の武者修行で実戦経験を積み、今シーズンにようやく帰ってきた。しかし、まだレギュラーを獲得したとは言えない。
大会最優秀GKになったファブリス・オンドア、16歳でバルサBデビューを果たしたMFウィルフリード・カプトゥム、「エトーの再来」といわれたアダマ・トラオレなど、期待された逸材は多かった。だが、彼らはいずれも2軍チーム(バルサB)止まり。壁を越えられず、新天地を求めた。
こうした現象は、何もバルサだけに起こっているのではない。
例えば、大会上位得点者12人のアタッカーたちは、ムニル以外、当時所属していたクラブのトップチームにひとりも定着できていない。
ジェームス・ウィルソン(当時、マンチェスター・ユナイテッド)、デバンテ・コール(当時、マンチェスター・シティ)、ジェンナーロ・トゥティーノ(当時、ナポリ)等……、その多くが、レンタル移籍を繰り返しながら、他のチームでも居場所を作れずに苦しんでいる。ユースで頂点を争ったような選手も、その多くは「ホープ」のまま、悶々としているのだ。
ユース年代というのは危うくも、その才能の覚醒に胸が高鳴ってしまう、蠱惑(こわく)的なものがあるのだろう。
しかし、スペインなどサッカー先進国では、ユース年代の成績だけで、その選手を過剰にフォーカスしない。「ユースはユース」という線引きがあるからだろう。プロはスピードも、パワーも違い、それまで通用してきたプレーが途端に出せなくなってしまう。
その一方で、プロの世界にしがみついて、強さや速さに慣れ、じわじわと力を発揮する選手もいる。バルサのトップで飛躍したマルク・バルトラ、セルジ・ロベルトは、まさにそのケースだろう。時間はかかったが、戦える選手として技術の高さを活かせるようになっていった。
プロの世界に辿り着いたということは、相応の実力や可能性を意味している。それをどのように活用するのか。結局は、それぞれの選手の手に委ねられている。
2018年11月8日 19時16分
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/15567178/
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Source: 海外サッカー日本人選手速報 WORLD SAMURAI