元日本代表監督トルシエ氏、イラン戦について「日本はまだまだ余力がある」「イランは全てアジア最高」
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日本対ベトナム戦は、どちらも準決勝進出に強い野心を抱いているチーム同士の対戦だった。日本は5度目のアジアカップ優勝へのひとつのステップとして。ベトナムはアジアカップ本大会で2度目のベスト8進出(最初は自国を含む東南アジアの4カ国共同開催となった2007年大会)を果たし、さらなる躍進を遂げるために。
ベトナムはグエン・クアンハイ(19番)を中心にした若い世代が恐れを知らず、朴恒緒監督は3バックをベースにした堅固なディフェンスを築いてゴールを固める実践的なチームを構築した。
守備的な布陣と戦い方に地元ベトナムメディアは批判的だが私はそうは思わない。対戦相手との力関係を考えたときに、このやり方が最も効果的であるからだ。
クアンハイやコンフオン(10番)らの仕掛けるカウンターアタックには威力があり、実際に数々のサプライズを作り出してきた。ベトナムが相手に恐れられるようになったのも、攻撃力がここまで威力を発揮したからだった。
日本戦でもそれは変わらなかった。プレッシャーとは無縁のベトナムは、日本を相手にしても怯むことなく持てる力を存分に発揮した。
幾度となくチャンスを作り出したが、得点に至らなかったのは日本の守備を完全には崩し切れなかったことと、ゴール前での冷静さを欠いていたからだった。小国が大国に挑む際に見られる、典型的なパターンであるといえる。
■若い攻撃陣は未熟だが。
敗れはしたが、試合終了まで頭を下げることはなかった。ベトナムは、未来への希望を抱きながら、胸を張ってUAEを去る。過去に1度も世界大会出場の経験がないベトナムだが、2020年東京五輪と2022年カタールワールドカップへの可能性が広がったのは間違いない。
それでは日本はどうだったか。
森保ジャパンには、ふたつの異なるイメージがある。ワールドカップ代表を中心に構成された経験豊かなディフェンスラインと、国際経験に乏しい若い攻撃陣。そしてベトナム戦でも後者は未熟さを露呈し、プレーで効果的なチャンスを作り出すことができなかった。
とはいえ私は森保監督を批判するつもりはない。彼は未来に向けてチームを準備し、そのために働いているからだ。しかもひとつひとつ目の前の課題をクリアしながら。
■疲労を最小限に抑えている。
まず日本はベトナム戦に勝利した。つまり最低限の結果は得たわけだ。それから大会そのものに関しても、ノルマは達成したように私には思える。たしかに目標は5度目のアジアカップ優勝だが、この若いチームがベスト4に到達したことはひとつの成功といえるからだ。
試合内容に鑑みても日本は勝利に値した。コンフオンにディフェンスが切り裂かれるシーンがあったとはいえ、日本の技術的優位は明らかだった。
ここまで日本は一歩一歩着実に歩みを進めている。日程のきつさも負担になってはいない。必要最小限の勝利を得ながら、フィジカル・メンタル両面の疲労を最小限に抑えているからだ。
戦い方も柔軟だ。サウジアラビア戦は、相手に完全に支配されながらも守備に専念して十分に戦い抜いた。逆にグループリーグでは、自分たちがゲームを支配しながら相手に揺さぶりをかけた。逆転勝利も2度あった。守る立場であれ攻める立場であれ、どんな状況にも対応できることをこれまでの戦いで日本は証明した。そして最終的に勝利者になった。
■イランはすべてアジア最高。
イラン戦も同じだろう。イランは大会最強の優勝候補で、これまで日本が戦ってきたどの相手よりも強敵だ。
技術、フィジカル、プレーのスピードとコンビネーション……個の力も際立ち、すべてがアジア最高レベルにある。
それでも森保監督は、アジア大会決勝の韓国戦がそうであったように、キッチリと対策を整えて試合に臨むだろう。あのときは延長に入り守備が力尽きた。
しかし今回は、メンタル・フィジカル両面で日本にはまだまだ余力がある。攻撃陣が違いを作り出せれば、日本の勝機は十分にある。
(「ワインとシエスタとフットボールと」田村修一 = 文)
1/28(月) 11:31配信 number
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Source: カルチョまとめブログ