乾貴士、古巣エイバル監督と良い関係 メンディリバル監督「あいつは本当にくそったれだ(笑)」と祝福(関連まとめ)
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「あいつは本当にくそったれだ(笑)。ゴールを決めた後に謝りに来たんだよ。だったら決めんなって話だよ(笑)。我々のところ(エイバル)でプレーしていた時よりも、アラベスで多くの得点を決めている。ゴールの仕方はベティスで学んだんだろう。いや、ベティスでは試合に出てなかったから、エイバルで学んだのかな(笑)」
バスク地方のダービーであるアラベス対エイバル戦。試合後の記者会見でエイバルのホセ・ルイス・メンディリバル監督が笑顔で話をすると、会見場に集まった記者からも笑い声が溢れた。
この試合、乾貴士は主役となる活躍を見せた。
58分、エイバルの右CKのこぼれ球は、乾からジョニーにつながり、アラベスのカウンターが発動する。ジョニーがボールを運んでいくのを乾が追いかけ、ジョニーはペナルティエリア付近まで進むと、エリア内に侵入した乾にパスをつなぐ。すると乾はエイバルのDFホセ・アンヘルを引き連れながらドリブルし、中央のボルハ・バストンを確認。そんな乾の動きにGKマルコ・ドミトロビッチが反応したが、乾はワンフェイトを入れて元チームメートを地面に転がし、無人となったゴールへと流し込んだ。アラベスの貴重な先制点だった。
試合はその後、エイバルが同点ゴールを決めて1-1の引き分けに。前節ビジャレアル戦に続く2試合連続決勝ゴールとはならなかったが、ミックスゾーンでメディアに応対した乾には笑顔が浮かんでいた。古巣エイバルの選手たちやメンディリバルにチャチャを入れられると、乾はスペイン語で話をしていた。
「エイバルとの試合がイプルア(エイバルのホームスタジアム)でできないのは残念。イプルアに帰りたかった。ベティスはシーズンの終わりに(イプルアでエイバルと)対戦があるけど、アラベスは(エイバルと)もうホームでしか戦えなかったからね」
この日のエイバル戦は、乾にとって特別な試合だった。古巣であり3年間を過ごした思い出の地というだけではない。乾がベティス移籍を決断した理由のひとつは、メンディリバルに出会い、その新たなサッカー観に触れたことにあった。声をかけられたベティスでも新たな経験ができると期待して、大好きなクラブを離れたのだ。
「勝ち点1だったけど悪くはないと思うし、いい試合はできたと思う。欲を言えば勝ちたかったけど、個人的な感想で言えば、引き分けでよかったかな」
そんな愛するクラブとの対戦だったからこそ、いつもはチームの勝利を一番に望んでいる乾が、引き分けに満足感を抱いていた。
欧州では、古巣との対戦で、たとえゴールを挙げても祝福せずにそっけない態度をとる選手も多い。だが、冒頭のメンディリバルの話のように、乾は自らのゴールを祝福した。その理由について乾は次のように語った。
「ホームなので。イプルアなら祝福はやらなかったけど、メンディソロサでの初ゴールだったので、そこは祝っておきたいと思いました」
ゴールアナウンスが「Inuiiii(イヌイィィィー)」と声をかけると、スタンドからは「takashiii(タカシィィィー)」の声が。そんな掛け合いが何度も何度も繰り返された。すでに乾がアラベスサポーターの信頼と愛情を手にしていることがわかった。それだけでなく、乾がメンディリバルをはじめとした古巣エイバルの元同僚たちと、変わらぬ友情を保っていることを感じさせてくれた試合だった。
山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
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Source: カルチョまとめブログ