- 1 名前:Egg ★:2018/10/28(日) 06:40:02.44 ID:CAP_USER9.net
- Jリーグは1993年に開幕し、今年で25周年を迎える。25年前は増加傾向にあった日本の人口も今では減少傾向にあり、2050年には1億人を下回ると言われている。人口の減少に伴い市場の縮小は避けて通れない現実であり、これまでほぼ100%国内のマーケットのみを対象に成長してきたJリーグも、強い危機感を持っている。株式会社Jリーグマーケティング海外事業部の小山恵氏が、自ら取り組むJリーグ世界市場へのチャレンジの最前線をお伝えする。
● 10年2100億円の巨大契約が意味するもの
Jリーグは2017シーズンから10年間で約2100億円という大型の国内放映権契約を、英国Perform Groupと結んだ。この契約は日本のプロスポーツ史上で最大級の規模であり、この大きな契約金がJリーグに自由度の高い経営と将来への様々な投資を可能にしたことは非常に大きい。しかし逆に言えば、向こう約10年間の国内放映権収入は固まっており、大きく金額が増えることはない。今後のリーグのさらなる発展を考えたときに、海外で稼ぐというのは自然で必至の考え方である。
世界に目をやれば、イングランドのプレミアリーグを筆頭にグローバルでの市場争いが激化している。衛星放送の拡大とインターネットの技術革新によって、強いコンテンツは自国内のみならず世界中でライブ視聴される。ゆえに欧州のビッグクラブは自国以外により多くのファンを抱えているのが現実だ。
● プレミアリーグは年間600億円程度の放映権料をアジアで稼ぐ
欧州の各リーグはアジアを注力市場とし、アジアの視聴者獲得、つまり放映権マネー獲得のために様々な活動を行っている。プレミアリーグは海外放映権だけで年間1500億円以上を稼ぎ出しているが、そのうちの4割近くがアジアからのマネーだと言われている。
アジアといってもタイ、マレーシア、インドネシアといった、GDPレベルでは日本よりも低い東南アジアの国々が、日本よりも大きな放映権料を投資している事実がある。それだけ東南アジアにおいてプレミアリーグの価値は高く、サッカーコンテンツに大金を投資する土壌があると言える。
毎年のように巨額のアジアマネーが欧州サッカー界に流出しており、その資金をもとに多くのスター選手が欧州に集中する。こうして実質欧州一極集中の構図ができ上がりつつある。
本来アジアマネーはアジアサッカーの為に使われるべきであり、欧州リーグに資金が流れる構図を変えないかぎり、アジアサッカー界の劇的な発展はないと考えている。もっと言ってしまえば、この巨額のアジア放映権マネーの一部でもJリーグに持ってくることができれば、リーグの新たな成長ドライバーになると筆者は確信している。
● 2012年に本格化したアジア戦略 「Jリーグをアジアのプレミアリーグに」
そのような背景の中で、Jリーグも海外市場、特にアジアへ打って出る必然性を感じ、2012年にJリーグの関連会社である株式会社Jリーグメディアプロモーションの中に「アジア戦略室」というプロジェクトチームが結成された。筆者は、チーム結成のオープニングメンバーとして加わったが、当時はゼロからのスタートで何が正解なのかも分からないままに奮闘していたことを覚えている。
当初、チームメンバー(といっても3、4人)の中で共通で想い描いていたゴールが『Jリーグをアジアのプレミアリーグに』ということである。『Premier』という英単語は、『最高の』とか『最上位の』と訳されることが多いが、とにかくJリーグにアジア中のスター選手が集まり、その試合をアジア中のファンが観戦している状態を作り出そうという発想だ。その中でも経済成長も著しく、日本との関係も友好であり、何よりサッカー人気が圧倒的に高い東南アジアを最初のターゲットに置いた。
● 前例のない挑戦、東南アジア選手のJリーグ加入
最初は非常に苦労した。なにしろ東南アジアのスター選手を連れてくるにせよ、これまでJクラブが東南アジアの選手を獲得した実績はなく、むしろ東南アジアは日本よりもサッカーのレベルが高いとは言えないので、選手の市場として注目もされていなかった。限られた予算で最強チームを作ることが責務となるチームの強化・編成責任者の立場に立てば、東南アジア選手の獲得はかなりのチャレンジだ。
つづく
10/28(日) 6:00配信 ダイヤモンドオンライン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181028-00183395-diamond-bus_all - 2 名前:Egg ★:2018/10/28(日) 06:40:14.12 ID:CAP_USER9.net
- アジア選手情報の収集・提供、試合視察のアレンジ、練習招聘のアレンジ、マーケティング価値の説明など、代理人のような仕事をしながら、とにかく一つでも成功事例を作ることに集中した。成功事例が一つできれば必ず他クラブも続き、大きな動きになると信じていたからだ。
そうして2016年に一つの成功事例が生まれた。J2・水戸ホーリーホックは、予算規模も比較的大きくない地方クラブであるが、その水戸にベトナムのスター選手であるグエン・コンフォンが加入した。コンフォンは母国で「ベトナムのメッシ」と呼ばれ、人気・実力ともにベトナムNo.1の選手。彼のFacebookフォロワーは150万人を超える。
● 茨城県のベトナム戦略、選手加入をフックに資本誘致
コンフォンの水戸加入の背景には、茨城県のベトナム戦略があった。茨城県はベトナム政府とパートナーシップを組み、農業従事者の受け入れ・インバウンド強化・県産品の輸出等を進めている。コンフォン加入のニュースは連日ベトナムで大きく報じられ、「水戸」「茨城」といった名前が毎日のようにベトナムで聞かれるようになった。その影響力の大きさを感じた茨城県は、コンフォン選手を「いばらきベトナム交流大使」に任命。県のPR動画にもコンフォン選手を出演させるなど力の入れようであった。
一人の選手加入をきっかけに水戸ホーリーホックはベトナムで最も有名なJリーグクラブとなった。その事実はクラブに事業的なメリットをもたらすことにもなる。ベトナムのナショナルフラッグキャリアであるベトナム航空が水戸のユニホームスポンサーとして契約したのである。同社が単一のサッカークラブに協賛するのは初だった。更に茨城県と茨城交通社などが協力し、ハノイから茨城空港へのチャーター便を飛ばし、水戸ホーリーホック観戦ツアーも実施した。100人を超えるベトナム人ファンがコンフォンを応援するために水戸に旅行し、周辺の観光地も巡った。
日本政府がインバウンド戦略を提唱しているが、そのメリットはどうしても大都市に集中しがちである。Jリーグの試合をフックに地方都市である水戸に新たな観光需要を掘り起こしたこの施策は、スポーツ庁・文化庁・観光庁が主催するスポーツ文化ツーリズムアワードにも選出された。
● 北海道コンサドーレ札幌に「タイのメッシ」が来て実現したこと
2017年にはJ1・北海道コンサドーレ札幌にタイのメッシことチャナティップ選手が加入した。前述の通りサッカー人気の高いタイにおいて、チャナティップは間違いなく人気No.1の選手。彼の札幌移籍を契機にタイにおけるJリーグの認知度・関心度は飛躍的に上昇。関心度は2013年調査時の2倍にあたる40%まで向上した。
つづく
- 4 名前:Egg ★:2018/10/28(日) 06:40:38.91 ID:CAP_USER9.net
- Jリーグでは公式Facebookのタイ語版も運用しているが、そのフォロワーは34万人(全てタイ人)を超えており、まもなく35万人に到達。日本語版を上回る数にまで成長している。チャナティップ選手の練習初日の様子をライブ配信したところ、300万人以上のタイのファンにリーチした。これは札幌市の人口(約200万人)を上回る数であり、一度のライブ配信でもう一つのホームタウンを得たと言っても過言ではない。
タイでは毎週札幌の試合を中心に明治安田生命Jリーグが生放送されており、その視聴率も非常に好調である。2018年はサンフレッチェ広島、ヴィッセル神戸でもタイ代表の中心選手が活躍しており、彼らのグッズもタイにて販売、好調な売れ行きを誇っている。
● サッカー界のグローバル競争は待ったなし
水戸も札幌も責任企業(事実上の親会社)を持つようなビッグクラブではなく、予算規模も比較的小さい地方クラブである。地方は人口流出が著しく、地域だけを市場とした成長・収益拡大は非常に難しい。だからこそ、アジアに活路を求めた。その結果、海外に目を向ける地元自治体に新たな価値を還元することに繋がり、さらには新たなスポンサー獲得など事業収入にも繋がっている。Jクラブは世界と地元を繋ぐハブになることができる。目線を少しアジアにずらせば経済成長真っただ中の未開のフロンティアがそこにはあるのだ。
アジアには間違いなくポテンシャルがある。既に多くの欧州リーグ・クラブが現地に拠点も構え、金稼ぎに必死になっている。後発であるJリーグは彼ら以上に積極的に出ていかなくてはいけない。現場に身を置く筆者の感じるところでは差が縮まらないどころか開いていってしまう気がする。サッカー界におけるグローバル競争は待ったなしである。
(株式会社Jリーグマーケティング 海外事業部 小山 恵)
引用元: http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/mnewsplus/1540676402
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Source: フットボール速報